ジンベエさんの日記帳

マッサージ師、浦島ジンベエの日記でーっす

全力で戦え! ~交感神経のこと~

戦う原始人

自律神経は「交感神経系」と「副交感神経系」の二系統があります。って、前回ブログで書きましたが、今回はそのうちの「交感神経系」のお話。

 

交感神経系は各種器官、各臓器を活発にするのが役目です。

「いっよっしゃああああ!」

と、何らかの心理的感情的な興奮があると、その昂ぶる気持は電気信号に変換され交感神経系に流れます。すると交感神経系の配下の全組織に興奮信号が流れて各種臓器のやる気を引き出します。目だけとか、筋肉だけ、心臓だけとか一部分だけではありません。交感神経に接続されている各器官、各臓器に対し一斉に興奮状態が流されます。ブロードキャストってやつですな。

 

はるかな昔。

 

人間が農耕文明をいまだ持たず、狩りで生き延びていた時代。他の生物との戦いに勝ちそいつを食わなきゃ餓死するし、戦いに負けたらガチの即死が待っている。そんな過酷な環境の中、肉体を極限まで使うことが大前提でした。しかも狩りという性質上、一瞬で人間の全力を出す必要があった。文字通り反射で動かないとやばい。なんせ人間は貧弱です。腕力でも脚力でも四足歩行の獣たちには決して勝てない。しかも二足歩行なんて極端に効率の悪い移動形態なので、一瞬の油断で獣たちに即座に捕まる。だから、ちんたら考えてる暇なんか文字通りにありゃしないのです。瞬時に、瞬間的に、そして文字通りの全力を出さねばならない。つまり

 

その瞬間に全力を出しきらないと、即死か餓死する。

 

こんな全集中を常に維持しろというドSな環境の中で人間は生き延び続け、何百万年という時間をかけて交感神経系というものを、一念発起戦闘特化・自動モードとして先鋭化させていったのです。そしてそれは大変によく機能し、人間は生き延びることに成功しました。

 

そして、生き延びた人間は、農耕というものを手に入れます。農耕は食料の比較的安定な供給をもたらしました。植物を植え育てることにより、他の生物との必死の戦いをする必要が極端に減りました。つまり、肉体が全力を出す必要が極端に減ったということです。人間は肉体の全ポテンシャルを戦闘に使う必要がなくなったのです。これは人類の肉体に対して革命的な変化でした。

 

緊張、ストレスによる負荷、精神的興奮。生きるか死ぬかの過酷な世界の中では、このシグナルは生存をかけた戦いのスタートを示すものでした。個体の生死がかかっているので、寿命を多少縮めてでも肉体の全力を振り絞る必要がありました。ですが農耕文明以降、生死を賭けた戦いは極端に減り、感情的な負荷が生じても人間はなんぼでも生き延びることができるようになったのです。

 

興奮しても、肉体的に全力を出さなくても生られる。すなわち、交感神経による一斉励起が必要は必要無くなったとも言えるのですが、原始時代の全力モードは人間の体に存在しています。全力を出さなくて良いのに、興奮すると全力モードは臓器的、組織的に全力を出せと命じます。そして、この命令は人間の寿命を縮めかねないものでもあるのですが、それでも必要もない無意味な全力を体は出そうとするわけです。

 

人類が農耕を手に入れてからまだ数万年しかたってません(地域によっては数千年)。肉体が遺伝子的な進化が蓄積して生存競争を生き延びたのではなく、脳の発達、文明の繁栄、人間社会の急激な進歩によって生き延びてきました。それゆえ、人間の体は基本原始時代のままです。何百万年と続いててきた原始時代の「全力で必死に戦うモード」そのまま継承し、現代というストレス社会は生存に無関係な意味のない全力モードを多々発動する弊害を抱えてしまってるわけです。

 

…農耕文明の時代に「農耕特化ののんびりモード」が器官的に発生して「地球で最ものんびりした肉体を持った種族」として特化できればよかったんですけどねえ。(^^;
ですが、あいにくと文明の発達は肉体の進化を促す時間を与えませんでした。人間はストレスを感じると、未だに交感神経系が「全力で戦え!」と体を総動員しようとします。この原始時代生存戦略モードを抱えながら、人間は現代を生きているわけです。

 

あ、言うまでもないですが、交感神経系は現代社会であっても、すごく大切なシステムですよ。人間にとって不必要なものではありませんので。

 

 

あれ、長くなっちゃった。

本日はこの辺で。


…つーか、いつになったら硬い筋肉を柔らかくする話ができるのか?w

 

プライベートマッサージ 浦島

浦島ジンベエ